HOME 日本の防雪柵の歴史と理研興業のあゆみ

日本の防雪柵の歴史と理研興業のあゆみ HISTORY

日本の防雪柵は鉄道から始まり、道路で発達した。

日本の防雪柵の歴史

日本の防雪柵は鉄道から始まり、道路で発達した。
防雪柵の原型明治42年頃の北海道旭川駅構内
(小樽市総合博物館所蔵)

日本では欧州から40年ほど遅れ1880年代に、鉄道の吹雪対策のために使われたのが防雪柵の始まりである。
日本の雪国で古くから使われてきた、風よけを兼ねて家屋の周りに板、茅や葦をたてかけた「雪囲い」がベースになったものと思われる。「雪囲い」は、囲いの中に雪が入らないように雪を囲いの外側に吹きだめようとしたもので、現在の吹き止め柵の考えに近いといえる。

日本で最初の鉄道防雪柵は「雪よけの坂塀」と呼ばれていたが、木製の雪覆(スノーシェルター)とともに評価は芳しくなく、やがて防雪林に代わることになった。

防雪柵を吹きだまり防止のために使用するには、柵の構造とともに設置位置が重要であるが、「雪囲い」の経験だけでは欧米の牧柵と違って、風下の吹きだまりが何処にどんな形状でできるか予測することは難しかったからと思われる(多くの場合、設置位置が近すぎて線路に吹きだまりができたと考えられる)。 なお、木製の雪覆は蒸気機関車からでる火の粉から出火する事故が多かった。

初めての防雪柵

吹溜柵 (昭和43年10月特許取得)
道路用としては、1961年に初めての防雪柵が設置された。 吹溜柵 (昭和43年10月特許取得)

現在残されている写真によると、柵高1.8m、空隙率50%の木製の吹きだめ柵であった。
欧米初期の防雪柵の構造に酷似していてそれに習ったと考えられるが、写真が残されているだけで、誰がどのような目的で設置したかなどの詳細は不明である。

1962年頃からは、北海道開発局建設機械工作所(現、防災・技術センター)において吹きだめ柵の試験開発が始められた。詳しい試験結果は残されていないが、柵高3m、空隙率20%の木柵が採用されている。
以降、日本の吹きだめ柵の空隙率は20%前後が一般的になっている。

空隙率が小さいほど風下の吹きだまり雪丘は小さくなるため、用地の狭い日本の道路事情に適したものであった。
それでも吹きだめ柵は広い用地が必要なため、土地利用が集約化した日本の用地確保は次第に困難になり、道路敷地に設置可能な柵の開発が求められるようになった。

高性能防雪柵 (誘導板付忍返柵) 高性能防雪柵 (誘導板付忍返柵)

道路敷地に設置できる防雪柵として、1967年から単板式・多板式の幾つかの吹き払い柵についての開発が建設機械工作所で行われ、1969年には国道に設置されている。
単板式の物はソ連にもあったが、多板式とよばれるのは日本独特のものである。
吹き払い柵の吹きだまり防止は、上下二車線道路に限られるが、視程障害の緩和にも効果があり現在でも使われている。

北海道開発局土木試験所(現、独立行政法人 土木研究所 寒地土木研究所)では、それまでの吹雪の研究を基に、日本の防雪柵の経験工学から防雪工学への脱皮を目指して1981年から研究を始めた。
防雪柵の防雪容量を柵高と空隙率で表し、防雪柵を吹雪量と積雪深を基に決定するなど、その成果は「道路吹雪対策マニュアル(案)防雪柵編(平成2年、(社)北海道開発技術センター)」として防雪柵のガイドラインになった。


1988年に始めて設置された吹止め柵は、風上側に雪を多く補足するために、柵高を高く(5mが多い)、空隙率を小さく、下部間隙をゼロにしたものである。吹きだめ柵の一種と考えることもできるが、吹止め柵は「雪囲い」の現代版で、日本の気象や環境風土に合った他に例のない独特の柵ともいえる。

理研興業のあゆみ

1961 昭和36年

緩み止めクロスネジ開発。日本国内及び、米・英・仏・独など世界6カ国で特許取得。「理研クロスボールト」として製品化販売開始する。

1962
北海道開発局建設機械工作所における防雪柵(吹きだめ柵)の試験開発に参加する。

1983 昭和58年

防雪柵「自立型主柱折りたたみ式吹払柵」の開発に成功。特許取得、製品化販売開始する。

1988
地吹雪再現風洞実験室を新設する。

1992 平成4年

景観に配慮した「完全収納式防雪柵」の開発に成功、製品化販売開始する。各官庁より好評を得る。

1995
創業40周年記念事業の一環として、北海道小樽市銭函に本社屋を落成し新地吹雪再現風洞実験室、製品検査場及び製品倉庫の完成とともに本社を移転する。

1996 平成8年

業界初、「連動昇降型防雪柵」の開発に成功、特許取得。製品化販売開始する。各官庁より好評を得る。

2002 平成14年

PIARC第11回国際冬期道路会議札幌大会/ふゆトピア・フェアに出展。「過酷な条件にさらされる地域の防雪・防風対策」をテーマに新製品の「高耐食性めっき防雪・防風板」と「全自動吹止柵」を発表、各官庁より好評を得る。

2002
雪害対策の調査・研究の目的に雪氷技術研究所を設立。

2003 平成15年

北海道工業大学との共同で「高性能防雪柵」の開発に成功。従来の吹止式防雪柵と吹払式防雪柵の利点を兼ね備えており、広幅員道路や高規格道路等、あらゆる条件に適応できる画期的な新型高性能防雪柵として、各官庁より注目をを得る、特許取得、製品化販売開始する。

北海道立林業試験場と共同で業界初の、「木製高性能防雪柵」を開発。北海道と共同実用新案権取得。農林水産研究高度化事業採択課題の製品化に成功した「木製高性能防雪柵」は、自立式で柵高3.5メートル~5メートル。

2004 平成16年

これまで困難とされてきた幅員の広い高規格道路に対応する画期的な「上下分流高性能防雪柵」を実用化。独立行政法人防災科学技術研究所と佐藤建設工業三社にて共同研究。

防雪柵鉛直部に対し垂直に取り付けられた整風板により、飛雪を整風板の風上側に堆積させることで、路上への巻き込み防止、視程障害の緩和を実現する「斜風対応型防雪柵」を実用化、北海道工業大学と共同開発。

2005 平成17年

「高性能防雪柵(誘導板付忍返柵)」が国土交通省の「公共工事において活用する技術」に選定される。

アルミ建材メーカー大手の立山アルミニウム工業㈱と技術提携契約を締結。共同で研究開発した「翼型防雪柵・スノーブレイド」の販売開始する。

2005
11月 創業50周年を迎える。

2007 平成19年

防雪柵の高機能化をめざし、「自動収納型高機能防雪柵」の販売開始する。

4月に実用新案登録申請した 「支柱固定補助具」が、6月に登録認可される。

2008 平成20年

新製品 「鋼管キャップ『ZIG』」を開発、10月より販売開始する。

国土交通省新技術提供システム(NETIS)に「自動収納型高機能防雪柵」「既設防雪柵対応型自動建込・収納工法」登録される。

「高性能防雪柵(誘導板付忍返柵)」新技術活用評価会議において評価され V へ更新される。

2009 平成21年

国土交通省新技術提供システム(NETIS)に「鋼管杭の主柱材接続固定工法『ZIG』」登録される。

2010 平成22年

防雪柵診断システムの販売を開始する。

「防雪柵高性能化ユニット」他5件の実用新案を取得する。

2010
11月 創業55周年を迎える

2011 平成23年

「新型高性能雪庇防止柵」の開発に成功し、東北の国土交通省の庁舎に採用され、民間マンションに販売開始する。

「鋼管杭埋設型折畳式防雪柵」「打設用チャッキング金具」を同時開発、販売開始する。

JFE建材(株)と「遮音型高性能防雪・防風柵」の共同研究開発し、製品化販売する。

日本高圧コンクリート(株)と「防雪防風柵用基礎コンクリートブロック」を共同開発し、製品化販売する。

「ナットの緩み防止機構」の実用新案を取得する。

「既設防雪柵嵩上げ工法」の特許を出願する。

「鋼管杭埋設型折畳式防雪柵」「打設用チャッキング金具」を同時開発、販売開始する。

「クロスボルト緩み止め組合せナット」の特許を出願する。